「プログラミング教室に小学生が殺到するワケ」~東洋経済記事

<2018.2東洋経済掲載記事より>

プログラミングと聞くと、難解なイメージを持つ方もいるかもしれないが、教室で学ぶ内容は非常に平易。「プログラミングを学ぶ」というよりも、通っているうちに自然と創造力や論理性が身につく内容となっている。

今日はどんなゲームやるの?」「どんなキャラをつくろうかなー」などと子どもたちの弾む声が交差する。群馬・高崎駅前、ヤマダ電機LABI 1 LIFE SELECT 高崎で行われている「小学生のためのプログラミング教室」の光景だ。子どもたちのパソコンと向き合う表情は真剣そのもの。それでいて、生き生きとしている。プログラミングという言葉から連想される機械的な雰囲気はなく、純粋に楽しんでいる様子がうかがえる。

教室では「Scratch」でのオリジナルゲームが作成でき、毎回の授業(90分)で1つのゲームを完成させることを目標としている。小学生が、たった1回の授業でゲームを完成させる――。いかにも難易度が高そうなミッションだが、この教室では子どもたちの意欲を引き出す指導法でそれを実現させていた。

授業の進め方はこうだ。まず、その日に取り組むゲームを子どもにプレイさせる。ゲームの仕組みが理解できたら、ブロックコードを記したテキストを渡す。同様に並べていけばゲームが完成するというわけである。

「同様に」といっても、「青色に触れたらキャラクターが動く」「クリックしたとき音を鳴らす」などとそれなりにコードは複雑であり、完全になぞるのは決して簡単ではない。少しでも間違っていると、最初にプレイしたのと同じ動きを再現できないため、誤っている箇所を探す必要がある。

実は、このいわゆるデバッグ作業が子どもたちの論理的思考の養成に役立っている。「先生、できたけどこれがうまく動かないよ」と訴える子どもたちに対し、インストラクターは「この動きを表すブロックはどれ?」とアドバイスして気づきを促す。このやりとりを繰り返すことで、プログラム構造に対する理解を深めるとともに、「コード」と「実際の動き」の関係、つまり「原因」と「結果」という論理的な思考力が育まれていく。


教室で受講していた小学4年生が、Scratchを使って作成したゲーム。魚のキャラクターは人気ゲームから着想し創作している。背景の画像やアクション時の効果音なども工夫して盛り込み、90分という限られた時間内にオリジナルな作品として仕上げていた。

実際、途中からみるみるうちにスピードがあがり、取材時に参加していた7人の小学生全員がゲームを完成させた。受講回数や理解度によってゲーム作成の難易度は変えているものの、中・高学年だけでなく小学2年生も参加していた。受講している子どもたちの保護者の話を聞いても「自分で考えながら実施できるのがいい」「こんなに集中するなんてびっくりした」という反応があり、物事に対する姿勢や課題を解決する能力を伸ばすのにも役立っていることがわかる。

一方、子どもたちにプログラミングの何が好きか聞くと「思ったとおりに動くところ」(小学4年生)、「ゲームのルールを変えられるところ」(小学5年生)という回答が多い。親たちも自分の子どもが作成したものを見てプログラミングの面白さに気づくことも多いようだ。

たとえば、取材時に取り組んでいたのは「宇宙人が星をキャッチする」ゲームだったが、ある子どもは「脱走した馬がエサを食べる」、そしてある子どもは「魚が海の中でエサを捕る」設定に変更。ペイントツールを巧みに操ってキャラクターを描き、効果音も工夫してゲームの世界観を創出していた。用意されたゲームをそのままコピーするのではなく、キャラクターや画面背景、音楽までも独自のものをつくろうとするのだ。既製品のゲームをクリアする楽しさとは別で、オリジナルのゲームをつくることで「創造力」を自然と鍛えている。

将来、何を目指すにしてもパソコンを使いこなす必要があるのはもちろん、社会で活躍するには論理的思考力や創造力が求められる。若者のパソコン離れが進んでいると言われる昨今だが、楽しく能力を伸ばせるプログラミング教室の存在がそうした風潮を変え、新たな“習い事”の定番となる日も近いかもしれない。